2010年7月15日木曜日

ガンバレ!かながわの若き事業者たち(2) 三富染物店

三浦市の三崎港行きバスの終点から歩いて5分、小さな染物専門店があります。染物店といっても三崎は漁港のまち、大漁旗の染物店です。北海道は函館生まれの私。子供のころ、遠洋漁業の函館港を埋めつくさんばかりの無数の漁船が大漁旗を風になびかせて入出港する様が今でも目に焼き付いています。(厳密に言えば、大漁旗というものは本来、新造船祝いに使われもので、のちに漁船が帰港するときに大漁であったことを知らせるために掲げる旗やのぼりのこと、だから私の記憶の真偽は・・・)懐かしい気持ちで、お店に入りました。ご主人と奥様、そして息子さんの三人が笑顔で迎えてくれました。

この店、実は天保4年から染物業を170年以上にわたって営んでいる老舗なのです。江戸時代は幕府の御用職人をして、おもに袢天(はんてん)・幟(のぼり)を、その後は大漁旗も染めるようになり、現在に至っているとのこと。しかも、神奈川県内で大漁旗を今も作り続けているのは、この三富染物店さんだけというではないですか。よかった!跡取りがいた、7代目の三冨由貴さんです。

さすがに今は大漁旗の注文は少なくなったとのこと。そのかわり、最近は結婚式・子供の誕生・節句・開店・還暦・古希・米寿など、様々な祝い事に使われているそうです。とはいうものの厳しい経営環境であることは想像に難くありません。そこで、7代目の三冨由貴さんに期待が高まります。かながわ名産100選にも選ばれている日本の伝統工芸品のひとつです。手造りの伝統の技を活かしつつ、新しいことにも是非チャレンジしてもらいたいと思います。

子供の節句旗

                         結婚祝いの旗

手染めミニ旗

お伺いするたびに、お茶とお茶菓子(和菓子)を出していただきました。今どき、お茶とお茶菓子を出してくださるところなど、めったにありません。手を付けずにいると、「どうぞ、どうぞ召し上がってください」と何度もすすめてくださいます。なんだか、胸が熱くなって、いつも頂戴してきます。三富染物店は伝統の技術と思いを持った、古き良き日本の味わいを感じることができるお店です。由貴さんがその伝統をいかに今の時代によみがえらせるか楽しみです。大安市場は三富染物店の祝い旗、その他の商品の販売を応援します。(上)

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